マーチンゲール戦略と勝率の関係

ハイローでは大きな取引金額で取引をするときに勝ち、負けるときは取引金額を抑えるというのが利益を大きくするための肝となる。裁量取引額戦略はこれを実現するための理想的な方法であるが、実践するためのハードルが高いという弱点があった。この弱点を補うのがマーチン戦略である。

マーチン戦略の基本

 マーチン戦略は連敗はいつかは終わるということを軸に編み出された手法である。その前提でいくと、連敗が終わるまで取引金額を倍々で増やしていくと、最後に勝ったときの払い戻しだけで負けた分を全て取り戻して利益が出せるという考え方である。

ハイローではペイアウト率が2倍未満であるのが通常なので、単純に2倍ずつに増やしていけばいいというわけにはいかないが、基本的な考え方は、勝つまで取引金額を増やしていけば最後に勝ったときにトータルで利益が出るというわけだ。


マーチン戦略の具体的な流れ

 マーチン戦略を使ったときにどうなるのか、実際に見てみよう。資金が10万円、ペイアウト率1.8の場合で、4連敗まで耐えられる(5連敗すると資金がゼロになる)ような資金管理でやってみる。

 この戦略で取引する場合、はじめの取引金額は「2,206円である。1回目で勝てれば2,206円×1.8=3,970円の払い戻しを受けられ、1,764円の利益を出すことができる。

 仮に1回目で負けた場合、2,206円を失うことになる。その場合は、2回目の取引金額をを増やし「4,963円とする。2回目に勝つと4,963円×1.8=8,933円の払い戻しを受けられ、1回目で失った金額を合わせて1,764円の利益を受けることができる。

 もし2回目にも負けた場合、3回目の取引で「11,168円を投入する。3回目に買った場合、11,168円×1.8=20,102円の払い戻しを受けられ、1回目・2回目で失った金額を合わせて1,765円の利益を出すことができる。3回目に負けたときも4回目も同様に取引金額を増やして取引していけば、ほぼ同額の利益を出すことができるのだ。

 このように、最初に設定した連敗さえしなければ(この例では5連敗)、着実に利益を出すことができるというのがマーチン戦略なのだ。また、勝利して利益が出ると資金が増える。

 

マーチン戦略のメリットとデメリット

 マーチン戦略のメリットは連敗さえしなければ着実に資金が増えていくことと、連敗する可能性は低いので勝率がそれほど高くない状態でも比較的利益を積み上げやすいという点である。

そして意外に大きなメリットなのが、連敗さえしなければ良いので積極的にエントリーしやすいという点だ。取引をしないと利益は出せないが、ハイローで取引をするときに負けてはいけないと思って結局取引がなかなかできなかった、という人が多いようだ。しかし、マーチンをやれば比較的楽に取引を開始できるので、結果的に利益も伸びやすいという傾向がある。

 デメリットはやはり連敗してしまうと資金があっという間にゼロになってしまうということだろう。また、連敗が続いてくると大きな資金で取引をすることになるためプレッシャーが相当高くなってくる。こうなるとなかなか取引はできるものではない。

試されるのは、あなたのメンタル。そして、強者の運である。

連敗をしている状況なので何かの歯車が狂っている可能性が高く、その状態では次に負ける可能性が高いかもしれない。そういう場合はいったん間を空けたり、あるいは、途中撤退するという手も検討する必要が出てくる。


勝率とマーチン戦略の関係

 さて、マーチン戦略はどの程度の確率でうまくいくのだろうか。勝率との関係を見ていきたいと思う。僕が個人的に現実的だなと思っている勝率6割の場合、マーチン戦略で資金を無事2倍にできる確率はどの程度なのだろうか?

 先ほどの例で使ったマーチン種別5回(5連敗すると資金がゼロになるマーチン)だと、2倍達成確率は66.25%である。結構、高い確率で資金を2倍にできるということが分かる。マーチン種別6回だとさらに確率は上がり、69.12%で資金を2倍にできる。

ちなみに、マーチン種別5回だと40回の勝利で、マーチン種別6回だと90回の勝利資金が2倍になる。(ペイアウト率1.8の場合)

 勝率が70%の場合だとどうだろうか。2倍達成確率はマーチン種別5回だと90.73%、マーチン種別6回だと93.65%となる。勝率が上がるにつれ、2倍達成確率はそれ以上に伸びていることが分かる。

逆に勝率が低いとどうだろうか。定額戦略でプラスマイナスゼロとなる勝率55.56%の場合、2倍達成確率はマーチン種別5回だと49.69%、マーチン種別6回だと49.86%となる。2倍達成率は5割近いとはいえ、少し下がってしまってしまう

勝率50%の場合はさらに大きく下がり、2倍達成確率はマーチン種別5回だと28.08%、マーチン種別6回だと24.24%になってしまう。勝率5割の場合はマーチン種別の回数を増やしても2倍達成確率は下がってしまうので、マーチン戦略をしてもあまり意味はないと言えるかもしれない。


マーチン戦略はオススメか?

 マーチン戦略はメリットとデメリットがあるので、全ての人にオススメできるわけではない。しかし、マーチン戦略の確率を良く知りリスクをよく理解して運用できる人にとってはかなり有効な方法だと思っている。そして、マーチン戦略を使うという場合には、以下の2点に注意したほうがよいと考える。

目標を明確にすること

 マーチン戦略は際限なく続けていくと、理論的にはいつか必ず負けるときがやってくる。そのため、目標を明確に決めて目標を達成したら利益分は出金するなど、マーチン戦略の資金から外しておくほうが良い。

連敗時のメンタルを意識すること

 マーチン戦略の確率はあくまで確率でしかない。流れが悪いときは勝率7割の人でも連敗してしまうことがある。メンタルの章でも詳しく解説するが、連敗時には特に冷静に対処しなければならない。特にマーチンは連敗が命取りになるので勝率が高い人ほど油断しないようにする必要がある。

 以上2点は少なくとも注意して、マーチン戦略を進めていって欲しい。ちなみに、僕はこのマーチン戦略を利用して取引するつもりだ。今後、自身の取引データが集まっていきたら裁量取引額戦略をとっていきたい。取引データが集まるまでのつなぎとしてマーチン戦略をとるのがいいかもしれない。